息子の空手との出会いは突然だった!
小学6年生のある日曜日の朝、
当時毎週放映されていた
「笑っていい☆☆!」
という番組を見ていた息子が、
「母さん!これ習いたい!!」
と、大声で叫んでいた。
「何? 何を見て言っているの?」
と私も慌ててテレビを見ると、
『古武術』というもので、
甲野善紀氏がビール瓶の入っているケースを軽々と持ち上げたり、
テレビの出演者を人差し指一本で押して倒して転ばせている映像だった。
息子は目を輝かせて、興奮気味でテレビに釘付けになっていた。
どうして息子が古武術に釘付けになり興味を持ったのかを振り返って考えてみた。
息子には身体障がいがあり、その頃は走ったりできるくらいにはなっていたが、
身体の動かし方は健常の子に比べたらはるかに鈍く、思いどおりにいかないことばかりだったと思う。
そんな中で思いどおりうまく動けないけれど、テレビの映像の古武術の甲野善紀氏が指一本で相手を倒しているのを見て、
こんな簡単に力を入れずに相手を倒す方法があるのなら知りたい!やってみたい!
と思う気持ちになったのは不思議なことではなかった。
私も古武術って何だろう?と思い、すぐにインターネットで検索してみた。
家から通えそうな場所を2ヶ所見つけたので、一番近い所にすぐに電話をかけて状況を話すと、
「それならいい先生がいますよ。」
と紹介して頂いたのが、
唯心会春清館道場の 大川師範との出会いだった。
琉球古武術振興会の重鎮師範でもある。
早速、見学しに来てみて下さいと言われ息子と出かけて行った。
道場に行くと ‘古武術‘は武器術のことで、稽古内容は棒術の基本組手をしていた。
2時間の稽古をきちんと正座して真剣に見続ける息子の姿に、
我が子の本気を感じたのである。
見学は夜7時から9時まで、1週間位毎日続けて行った。
古武術を習いたいと言って見学に行ったのだが、実際に稽古をしていたのは
「空手」だったのである。
私の心は、
息子は古武術を習いたいと言っているのに、違うではないか…
と思っていた。
テレビで見た事を話し、師範に聞いてみると、
「これがそうです。」との事。
テレビを見て、やりたい!と言っていた息子はこの空手を見てどう思っているのかと聞いてみると、
「やりたい!」
との事。
「えっ?? 本当にこの空手をやりたいの?」
こうして2008年に唯心会道場に入門し、息子の空手人生が始まったのである。
実はこれには驚くべき裏話もあり、
古武術=空手
と知って、息子の血が騒いだ理由が解った気がする。
息子の父親は、小学生から剣道を始め、
社会人になってからも地元の剣道会で子ども達に教えていた。
大学時代は空手部に所属しており、父親の父である息子の祖父も大学時代は空手部だったそうである。
剣道も空手も共に武術であり、
息子がその古武術に引き寄せられたのは運命かのようだった。
この縁のような血を止める事はできないだろうな…
と感じつつ、息子が
日に日に 空手という武術にのめり込んでいく のを見守ってきた。
こうして今、13年も継続しているのである。
そして、息子本人は
「空手は一生やめる気は無い!」
と断言している。
武術を習い始めて、身体の力を抜く重要性や、
呼吸の大切さを学ぶことができたと言っている。
息子が空手をやる目的は、
「試合で勝ちたい」
「相手を倒したい」
「強くなりたい」
ではなく、
『咄嗟の時に、自分の身を守れるようになりたいからだ。』
と、よく言っている。
大会で勝つ事が目標ではない。
技が一つずつ身に付き、できる事が少しずつでも増えている事が励みになっているので、
苦も無く継続できるのだと思う。
こんなにはまるものに出会えた事は、息子でありながら羨ましく思う。