障がい児の就学問題

幼稚園に入園後も

息子にはまだまだできない事がたくさんあり、

次の壁となる3年後の小学校入学の事まで

とても想像できなかった。

 

歩けるようにはなったが、

それは平らな床の上での事で、

傾斜のある坂や段差のある所や

砂利道などでは、バランスが上手くとれずに転びやすいので、

手を繋いで何とか歩ける状態だった。

階段も手すりがないと上り下りするのが難しかった。

とにかく身体のバランスをとることが苦手だった。

走る事もなんとかできるようになってきたが、

そのスピードはゆっくりだった。

衣服の着脱、

ボタンの留め外し、

持ち物の準備など手の操作をすることが難しかったので、

普段の生活の中で繰り返し練習しなければならない事がたくさんあった。

できない事はたくさんあったが、

幼稚園の優しい友達に助けてもらったり、

刺激を受けて少しずつ成長していった。

優しく、時には厳しく、息子の存在を認めて励まして下さる

素晴らしい先生方に出会えた事も

宝物である。

 

ボイタ法のリハビリの他に、

OT(作業療法)ST(言語療法)にも通った。

母子入院もした。

小学校入学はどうすればいいのだろう…?

と、年中組の頃不安になり、調べ始めた。

その時、私の頭の中には全く特別支援学校の選択はなかった。

その頃は、今のように支援員がいるわけではなかったので、

地元の公立小学校ヘ進むのなら

親も付いて行かなければならないだろうと覚悟はしていた。

1クラス30名前後で、

先生の目が届くだろうか?

放っておかれるのではないだろうか?

 

第2の選択として、

私立の小学校はどうだろうか…?

と思い、

息子を連れてオープンキャンパスへ行ってみた。       

ちょうど車で通う幼稚園への道の途中で毎日見ている学校だったので、

息子の この小学校ヘ行きたい!

という気持ちは膨らんできているようだった。

1クラス20名定員で60名の募集だった。

息子の好きな音楽のオーケストラ学習があるのも魅力だった。

スクールバスがあるので、通学も安心だと思った。

定期的に行われるオープンキャンパスには必ず参加した。

事前に相談に行き、教頭先生にお会いした時に

障がいがある事を伝えると、

この学校は教育学部のある大学の附属小学校なので、

普通の子だけでなく

いろいろな子がいると学生の勉強になるので、

受け入れないという事はありません

と、話して下さった。

受け入れ拒否だったら諦めたと思うが、

教頭先生との面談後には

小学校入試の受験をすると

息子が決めていた。

合格できるかどうかは全くわからず、

初めてのチャレンジだった。

もし合格できたとしたら、

低学年のうちに勉強の基礎をきちんと身につけるようにできれば、

その先はまた努力でどうにかなるだろうと思った。

 

この選択により、

少人数の手厚い指導を受ける事ができ、

基礎を固めることができ、

9才の壁を乗り越え、

最終的に息子が大学まで進む基本の力を身につけられたのだと思う。