幼稚園の時、絵画教室に通うようになったが、
息子にとっては絵を描く事もリハビリの一つのようなものだったのかもしれない。
上肢にも障がいがあったので、
腕に力が入ってしまったり、
手先を使う細かい作業が苦手だった。
でも絵を描くために、
腕の力を抜いて大きく動かして描いたり、
細かく描いたり、
絵の具の小さなふたを開け閉めしたり、
絵の具と水の量を調節して混ぜてつくったり、
自然と手先を動かすリハビリにもなっていたような気がする。
息子だけでなく、絵画教室では私も大切な事を教わる事ができた。
絵画教室の先生は、県の読書感想画などの審査員をされてきた立派なH先生だった。
小学生低学年の頃だったと思うが、
ある時先生から、
「お母さん、あれこれ口を出しすぎ!」
と言われた。
息子の絵に全部表れているとの事。
『口を出しすぎ』とはどういうことだろう?
と考え、私自身がやっている事を振り返ってみた。
思い当たる事がたくさんでてきた。
そういえば、息子が何かやったりやろうとしている時、
黙って見守っている事はなかった気がする。
今ではそんなに動作が遅いと感じる事は少なくなったが、
子どもの頃の息子の動作は一つ一つに時間がかかった。
なので、私も無意識のうちに、
息子の動作の前に、先に先に声をかけてしまっていた。
次にこれをやって、次にこれを… というように。
ああしたらどう?
こうしてみたら?… 等と言ってしまっていた事に気付かされた。
息子のこの絵のどこに、親の口の出し過ぎが表れているのだろう…?
と思いながらも、やはり
プロフェッショナルには全てがお見通しなのだと感じた。
このアドバイスを頂いてからは、
できるだけ『待つ』事を心掛けるようになった。
そして、息子自身がなるべく自分で考えて決める事ができるような言葉かけを意識するようになったのである。
しかし障がい児を育てる上で、
『待つ』ということはとても大変で、
ついつい待ちきれなくて手伝ってやってしまったり、
嘆いてしまうこともあった。
でも、この先生からの一言があったおかげで、
私自身のマイナス面に気づき、
無我夢中でやっていた子育ての軌道修正をする事ができたのである。
この事については、息子が感じていた事を今度聞いてみたいと思う。