新年になると毎年新聞やテレビで、
空手道場に通っている道場生が砂浜で寒稽古を行なったという記事や映像を見るが、
僕の唯心会春清館道場は寒稽古を行なうことはない。
寒稽古の目的は何か?と調べてみると、
寒稽古とは、寒の時期に武道や芸事の修練を行うこと。
技術の向上とともに、寒さに耐えながら稽古をやり遂げることで、
精神の鍛錬をするという目的にも重きをおかれて行われるものである。
寒稽古の原型は神道や仏教の修行法である寒行、あるいは寒修行と言われたものとされる。
現代でも空手道を中心に、体力向上や我慢強さを養うことを目的として行われるが、
寒稽古の意義は医学的見地から否定されている。
寒稽古で一時的に持久力が向上しても3ヶ月後にはその効果は失われ、
寒稽古における激しい身体的ならびに心理的ストレスによる
基礎交感神経活性の変化は、持久力と自覚的コンディションの変動に負の影響を及ぼす。
と書いてあった。
師範になぜ寒稽古をしないのかということを聞いてみた。
師範からの回答は
「寒稽古を行うと新聞やメディアに取り上げてもらうために
パフォーマンスでやっている道場が多い。
冬の寒い中 砂浜で その場突き や 蹴り をやっても、
身体が寒くて動かないので腰は入らないし変な癖がついてしまう可能性が高い。
悪影響が出てしまうなら、道場の中でしっかりと稽古に集中した方が成長する。」
と言っていた。
大川師範も井上師範も「スポーツ」ではなく「武術」を指導しているので、
『本物の技』を習得するためにはどのように稽古をするべきなのかを
考えていたのだと思う
僕自身も冬の砂浜での稽古をやる意味があるのかと、
いつも疑問に思っていた。
明治時代以前に武術を習うことが許された人は、
人が来ない山の掘っ立て小屋の中で、
師の持っている秘伝の技術をマンツーマンですべて習い、
習い終わると免許皆伝を師からもらえるというものだったので、
現代のように冬の海の近くで一般の人が見ている前で稽古をすることはあり得ないことだそうだ。
戦で使われていた技術を人の前で見せることはないし、
空手や古武術の技術や型はほとんど口伝で伝えているので書物に残っていない。
もしくは第二次世界大戦で焼けてしまい残っていないそうだ。
だから昔からの武術を伝える道場なら寒稽古はやらないし、
昇段審査などの映像も残すことはないのである。
受験者とその場にいて相手をした人しか知らないことなのでシークレットなのである。
2024年への目標は3段取得をめざして稽古に励みたい。