アミザーデの輪を広げたい

私は、将来やりたい事が三つある。

一つは、社会福祉士の資格をとり、

人の相談などを聞いて解決に導く事だ。

主に障がい児やその家族の悩みを聞いてあげたい。

 

私自身障がいを持っている。

18年間生きてくる中で大変だった事や悩んだ事はたくさんある。

例えば、

なぜ大変なリハビリをしなければいけないのか、

なぜ私は、皆と同じように走ったり、

サッカーで強くボールを蹴る事ができないのか、

などだ。

 

リハビリをやらなくてはいけないのかという考えの答えは、

少しでも解ってきたと思う。

リハビリは大変だが

続けなければいけないということだ。

 

人は直ぐに結果を気にしてしまう。

しかし障がいは長い期間をかけて、

ゆっくり一つ一つできない事をできるようにしていく。

 

やっている時には大きな壁になっていることが多いが、

越えた時の喜びは最高だ。

 

その壁は一人の力では越える事はできない。

 

家族、先生、近所に住んでいる人、

多くの力があって越えられる。

そのためには協力しないといけないので

団結力や継続する事が大切だと思う。

 

できない事がある度にストレスが溜まってしまうが、

嫌という気持ちに勝つ事ができれば、

障がいも治ってきてできる事が増えてくると、

私が相談を受けたら教えてあげたい。

 

他にも努力する事が大切だということは、

私のやっている障がい者空手の選手などに話を聞くと口をそろえるように言っていた。

ある選手は、       

「やりたい事があるから努力するし、

努力しなければ障がいも 空手の形も

良くなる事は絶対に無い。」

と言っていて、

私も目標や自分の希望に向かってゴールまでの道を走っていた。

 

ただ努力するだけではなく、

その人に合った目標を一緒に探してあげられる社会福祉士になりたいと思う。

 

二つ目にやりたい事は、CPサッカーだ。

CPサッカーは、7人制の障がい者がやるサッカーで、

私は岐阜のチームに入っている。

CPサッカーは、パラリンピックの正式種目になっているが現在は外れている。

そして日本は、まだ一度もパラリンピックに出場した事が無い。

 

2020年東京でオリンピック.パラリンピックが開催されるので、

パラリンピック復活に向けて普及活動が行われている。

パラリンピックへの夢をもって頑張っていきたい。

でも、今の私の力では世界のトップクラスの実力にはとても叶わない。

これから7年かけて力をつけたい。

 

日本代表の合宿ではサッカーの技術以外にたくさんの事を学んだ。

例えば、

合宿所への行き方、荷物の支度のやり方、コミュニケーションのとり方、方言などだ。

合宿所への行き方は、自分でスマートフォンやパソコンで、

電車の乗る時間、乗り換え場所、地図で場所の確認などをする。

荷物の支度のやり方などもどうすれば効率よくなるか、やりながら覚え解ってくる。

方言というのは、代表では全国各地から選手が集まってくるので練習後などの食事をする時はそれぞれ皆地方の方言を使って会話をする。

だから東北の人の方言で意味がわからないこともあって、聞いて新しい発見などもあり面白いと思う。

 

三つ目は、

障がい者と健常者の区別をなくしていくということだ。

最近、教育の現場ではインクルーシブという言葉がよく聞かれるそうだ。

インクルーシブとは、

障がいがあろうとなかろうと、

あらゆる子どもが地域の学校に包み込まれ、

必要な援助を受けながら教育を受ける事だ。

 

障がいを持っているからといって、特別な場で教育を受けるのではないという事だ。

 

私には、サッカーや空手、マラソン大会などを通して、

障がいが有る無しに関係なく、

健常者と一緒にスポーツを楽しむ場所がたくさんあった。

 

先日高校サッカーで優勝した富山では、

アミザーデサッカー大会という大会が毎年行われている。

アミザーデというのは、

ポルトガル語で「友情」 という意味だそうだ。

この大会は、

一人でも多くの障がい児、健常者が

サッカーを通して、

より多くの人と出会い、ふれあい、交流することにより、

互いを理解し認め合いながら交流の輪を広げる

という趣旨でサッカー大会が行われているようだ。

インクルーシブの精神が富山では、

サッカーを通して広がりつつある。

 

一方、静岡では、

障がいを持った子の行く場所が少ない

という声を私の通う病院でもよく聞く。

行く場所がないのは、社会全体の問題だと思う。

それは、障がい者と健常者を区別し、

壁を作り、別の世界で生活させようとしているからだと思う。

 

サッカー王国である静岡も、

障がい者と健常者の輪を広げていきたい。

小さい頃から障がい者が身近にいる生活をしていれば区別する事はなくなると思う。

そういう意味でもアミザーデサッカー大会のような大会を日本全国に広めたいし、

私自身大人になったら障がいのある子ども達にスポーツを教えてあげたい。

 

そして、パラリンピックに出場する事ができたら、

自分がこれまで努力してきた事を書いたり話したりして、

他の障がい者に勇気を与えられるようにしたい。

 

福祉大学入学前(高校3年)の作文       

「私の将来やりたい事」より

 


その後福祉大学を卒業し、

現在は県の職員として勤務しているが、

日々仕事の壁にぶつかっている。

障がい者スポーツ指導員の資格を大学在学時に取得し、

現在も障がい児者へのスポーツ指導を行なっている。

スポーツの楽しさをこれからも多くの人に知らせ、

パラスポーツを広げていきたいと思っている。

ボイタ法のリハビリは諦めずに続け、

大好きな空手の稽古も続け、全国大会でのメダルを取ることもできた。

2021年には静岡県初のCPサッカーのチーム AQエスフォルソ静岡ができ、

大勢の方の支援を受け、

毎月第1・3日曜日に三保エスパルスグランドにて練習し、キャプテンとして頑張っている。

高校生の時に思い描いていた夢は、少しずつではあるが叶えられてきている。

いつかよい結果がでることを信じ、

やり始めたことは継続して頑張っていくことが成功に繋がると思う。