障がい者が公務員になるために

息子は、
『自分が障がいを持っているからこそ解る事』の相談にのってあげられるような仕事をしたい
と言っていた。

そんな目標をもっていたから福祉大学に進学した。
そんな仕事は何処でできるのだろう?
ソーシャルワーカー?
ピアカウンセラー?
大学では福祉心理学を学び、
社会福祉主事、児童指導員、児童福祉司、心理判定員、障がい者スポーツ指導員などの資格をとった。
高校時代にはヘルパーの資格も取っていた。

就活はのんびりだったが、ハローワークへ行ったり、就職相談に行ったりもしていた。

障がい児施設や、放課後デイサービス、社会福祉協議会、就労支援施設など、

自分でどんどん出向いて行き、見学させてもらったり、面談して相談にのってもらったりしていた。

しかし、どうも息子のやりたい事とは少し違うようで、

相談に行けばいくほど

自分のできることは何だろう・・・?

と、悩み始めているようだった。

だんだん自信がなくなってきて、投げやりな気分になってきた頃、

ちょうどコロナが流行り始め、

障がい者関係の施設は見学も面談もストップしてしまった。

自粛生活が始まり、就職活動も一時できなくなり、家にいる時間が長くなった頃、

インターネットであれこれと調べていたようだ。

何もせず時間が過ぎていくだけだし、何とかしなくては…

どうするつもりだろう…

と親の方が心配になってきた頃、

息子が 公務員試験を受ける と言った。

自分が20年以上も続けているリハビリの事や、        

県の障がい者スポーツ指導員として、大学時代から活動してきた

障がい者にスポーツの楽しさを伝えたり教えたりすることなど、

障がいを持っているからこそ解る事を、伝えたり相談にのる事

やりたいと本気で思うようになったようだった。

試験までの数か月、公務員試験対策のため塾に通いたいとのこと。

公務員試験を受けるまでは、息子がなにかをやり始める時、

だいたいは母である私が段取りやお願いをしてやっていた事が多かったが、

公務員として社会人になる為には、失敗したとしても自分でやらせてみようと思った事がある。

それは息子が公務員試験問題の解らない所を

塾に通って教わりたいと言うので、

どんな科目をどのような日程で通い進めていったらいいのか、

自分で先生のところに行き相談してお願いしてくるように任せてみた。

塾のホームページには、

『教えられてばかりじゃ 頼ってばかりじゃ 面白くない!

自立が一番

『本や人、情報との良き出会いによって、人生は一変します。

良い環境ではすべてが好転し 輝き出します』

『誰でもやればできる。

自ら作ってしまう 心の「壁」を取り除けば、

輝く人生が待っています』

『「ありがとう」は 心を動かす、時代を動かす、人を輝かせる

魔法の言葉』

『人間は環境の動物、

能力の差より、環境の差で変身します』

『人は皆、等しく万能の才あり!』

等と、前向きになれるような言葉がたくさん書かれていた。

こんな考え方の先生なら、是非子どもをお願いしたいと思った。

しかし、まず息子がやる気モードになり

自分で行動する事が第一番だと思って、

塾に関しては全くと言っていい位 口出しするのを我慢した。

これが自分で交渉したりお願いしたりできなければ、

公務員としてはやっていけないだろうと思ったからだ。

それに、私が先生との交渉をしてしまったら、

息子は他人事のようになってしまって、

絶対に受かりたい!

と真剣に取り組む姿勢が持てなかったかもしれない。

合格するためにはどうしたらいいのかを、       

塾の先生との会話の中で盛り上げてもらったのではないかと思う。

この経験が社会人になる前の練習になったと思う。

コロナ禍の中、自分の行動範囲の中でちょうど通える所で、

少人数で熱心に面倒を見てくださる良い先生を見つけ、

せっせと通い始めた。

就職活動が全くできない時期だったので、

無駄な日々、時間を過ごすのでなく、

目標に向かって勉強する時間ができたのはラッキーだったと思う。

やりたいこと、目標が定まると、

ほとんど親の助言無しで、自分で決めて真剣に取り組む姿が見られ、

改めて成長を感じた。

本当に先生との良い出会いで運勢が変えられたと思う。

そして無事合格し、やれやれ肩の荷を下ろすことができたのである。