障がいをもつ子の成長は、まさしくバリアフリー の道路と同じだと思う。
健常者は普通に階段を一段一段上ったり、一段抜かしで駆け上がったりして、最短ルートで進む事が可能だが、
障がい者(身体障がい者)は階段が上れない、使えない、人が多い。
だから階段横のバリアフリーのスロープを使い、なだらかな坂を回り道しながら進むしかないのである。
だから健常者に比べてはるかに距離も時間もかかってしまう。
健常者に追いつこうと慌てて早く上ろうと階段を使って上ろうとすると、
かえって一段踏み外したりして怪我をすることになる。
自分が安全に進める遠回りのスロープの道を進んだ方が、結果的には確実に上ることができるのである。
私は、階段 と バリアフリーのスロープ の違いは、
健常者 と 障がい児 の 《成長の違い》 のように、
例えてみるとわかりやすいと思う。
息子が公務員となり仕事をしているが、健常者と対等に同じ事が同じ早さでできるはずがない。
息子も自分なりに頑張ってはいるようだが、見た目にはわかりにくい上肢の障がいもあるので、細かい書類整理など苦手で上手くできず、失敗したり迷惑をかけてしまうこともあるようだ。
自分が上手くできない事に焦ったり、落ち込んだり、迷惑をかけていることの不甲斐なさにメンタルが潰されそうになってギリギリの状態まできて悩んでいた。
いろいろな人のアドバイスを頂き、励ましてもらっていたが、最近はいよいよ限界かな・・・ ?
と思うほどかなり心が潰されそうになっていたので大丈夫かなあと心配している。
息子がボイタ法のリハビリのおかげで歩けるようになったのは3才だった。
健常の子が歩き始めるのは1才頃だ。
2年も遅れてやっと歩けるようになったのだから、もう最初から出遅れているのだし、
健常の子と比べたり追いつかせようと息子を焦らせないようにしよう
と心がけて子育てしてきた。
進学や就職に向けての道もそう簡単な道ではなかった。
直線の道でなく、常に大回り、遠回りの道を時間をかけて進んできた。
進めば進むほど壁があり、さらにその壁は大きく高くなっていった。
しかし息子の一番の特技である 『継続する力』が、いつも全てを支えていた。
これはボイタ法のリハビリ、空手、サッカーを継続することが、
自分自身を成長させていくためにどうしても必要なことだ と息子が感じていたからだろう。
何でも最初から上手くなんてできるはずがなく、継続する事によって基礎を一つずつ固めていき、
いろいろな事を身に付けてきた。
今、仕事の面でも大きな壁にぶつかり葛藤しているが、
今まで進んできたように一つずつ確実にできることを増やしていけるよう、
なだらかなスロープの道を大きく回りながら時間がかかっても進み、
いつの日かまた「ああ、ここまでこれた!」
と上ってきた道を振り返り、自信が持てる日がきてくれることを祈り見守っている。
一人前に仕事ができず失敗ばかりで、息子の回りの方々には多くの迷惑をおかけしていると思うが、
障がいを理解して温かく見守り支えていただける環境が世の中のどこにでもできてくれると嬉しい。
息子がここまで成長してこれたのは、理解して、指導して励まし、怒り、褒めて下さる方が大勢いてくださったおかげだと本当に感謝している。