障がい児が社会に出る前に身につけたい事

障がい者の僕が交通機関を使い、

一人で県外等に行くことができるようになった理由を書こうと思う。

中学生の時、CPサッカーの日本代表の選考合宿に母と横浜まで新幹線を利用して行った。

僕以外の代表選手達は身体障がい者でありながら、

大きなスーツケースを持って全国から一人で参加し集まってきていた。

僕より障がいが重い選手もエレベーターやエスカレーターが無い時にも

自分で荷物をもって階段を上り下りして移動している様子を見て

僕と母は驚き衝撃を受けた。

僕は代表選考合宿に参加するまで、

どんなところに行くにも両親に送迎してもらい

引率して連れて行ってもらっていた。

合宿に参加して、代表選手になるためにはサッカーの技術や力よりも、

まず一人でどんなところにも自分の力で行くことができないといけないと感じた。

なので高校はあえて自宅から近くのところでなく

電車を使って通学する高校を選び、

3年間毎日公共機関を使って通う経験をしたことで、

いろいろなことが自然に身に付いてできるようになったと思う。

まず一番大切なのは、

家から目的地までしっかりと一人でたどり着くことができるようになることだ。

高校生になってからは通院のために親に病院に送ってもらうこともなくなり、

下校後にバスを使いリハビリをしてもらうために自分で病院へ通うようになった。

障がい者だと親等がすべて世話をしてくれたり助けてくれて甘えてしまうことが多いが、

急に社会に出てから一人で行動することは大変だし、

慣れるまでは困ることになるので、

公共機関を使う体験を高校生の間にするべきだと実感している。

自分一人で公共交通機関を使って出かけたことがないと、

切符の買い方は?

どのホームの電車に乗るのか?

などという基本的なこともできず、

どうしたらいいかわからず慌ててしまうと思う。

地方都市ならそんなに路線がないので大きなミスは起こりにくいと思うが、

都会だと路線が多くあり、一つ間違えるととんでもないことになってしまう。

乗り換えはどうするか?

電車が遅れていたりトラブルなどで止まってしまった時はどうするか?

定期券の購入やみどりの窓口での指定席の予約は?

電車の障がい者割引チケットの買い方は?

何時何分の電車に乗れば間に合うか?

公共交通機関を使うということは、時間の逆算もして移動することになる。

乗る時間に遅れると、次の電車を待つということで時間のロスをすることになる。

僕は高校の下校途中で疲れていて寝てしまい、

自分の降りる駅を過ぎてしまい、

家に着くまでに普段の三倍の時間がかかってしまったという経験を何度かしたこともある。

障がい者にとって公共機関を使う経験の壁が、勉強の壁よりも大きいと思う。

高校生のうちならもし失敗して学校に遅刻してしまってもなんとかなるが、

就職して公共機関を使って通勤することになり、

いきなり交通機関を使い慣れるのは大変なので、

高校三年間のうちに少しずつ経験を積んでいくことが、

成長への近道ではないかと思う。

公共機関を使い一人でどこへでも行けるようになることは、

学校の勉強より大切な 人生を豊かにすることを学べる と思う。

僕はメガネやスマホを新幹線や電車の中に置き忘れてしまったり、

たくさんの失敗もした。

しかし僕はこの経験のおかげで、

岐阜でのサッカーのチーム練習や、

全国の代表合宿、空手の全国大会行きなど、

高校生の時から自分で電車の時間を調べチケットを買い、

出かけて行けるようになり、

その後の大学も不安なく電車、バスを使って通学することができた。

大会や合宿時は荷物も多く帰りは疲れてしまっているので、

少しでも身体が楽になるように

スーツケースや大きな荷物は宅急便で家に送ってしまうという技も覚えた。

海外の大会にも行った。

公共機関を使って一人でどこにでも行けるようになってからは、

世界が大きく広がっていったと思う。